退職代行サービスを利用して退職したいんだけど、営業先の引き継ぎはしないとダメなの?
正直、もう今の職場に行きたくないんだけど……
退職代行サービスを利用すれば、会社に直接退職の意思を伝える必要がないため、円満退職を希望する人を中心に人気となっています。
しかし、それにあわせて退職代行サービスを利用した営業職の引き継ぎ放棄によるトラブルが、近年増加しています。引き継ぎ放棄は、会社や取引先に大きな迷惑や損害を与える可能性があります。
そこでこの記事では、営業職の退職代行トラブルの具体的な内容や、引き継ぎ放棄のリスクを回避する方法、注意点について解説します。
- 営業職が退職代行サービスを利用する際に発生する具体的トラブル
- 引き継ぎを放棄することによるリスクと回避方法
営業職の退職代行サービスでのトラブルとは
営業職の退職代行サービスの利用は、近年急増しています。
その背景にあるのは、営業職の離職率の高さや、労働環境の厳しさなどです。
しかし、営業職の退職代行サービス利用には、引き継ぎ放棄によるトラブルが発生するリスクがあります。
営業職の退職代行サービスの利用が急増
厚生労働省の「個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、自己都合退職でのトラブル相談件数は、2022年度は40,081件と、10年前の2012年度に比べて約2倍になっています。
そのうち、営業職の退職代行サービスの利用は15.7%と、全業種の中で2番目に多くなっています。
営業職の退職代行サービスの利用が急増する背景には、以下のようなものが挙げられます。
- 営業職の離職率の高さ
- 労働環境の厳しさ
営業職の離職率は、全業種平均の20%を上回る25%と、高い水準にあります。
また、営業職は、長時間労働や接待などの厳しい労働環境に置かれていることも、退職代行サービスの利用を増加させる要因となっています。
引き継ぎ放棄によるトラブルも発生
営業職の退職代行サービス利用には、引き継ぎ放棄によるトラブルが発生するリスクがあります。
営業職は、顧客や取引先を抱えていることが多く、退職に伴う引き継ぎが重要となります。
しかし、退職代行サービスを利用した場合には、本人が引き継ぎを行うことができず、会社に損害を与える可能性があります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客や取引先との信頼関係の低下
- 取引の失注
- 売り上げの減少
また、ごく稀なケースではありますが、退職代行サービスを利用した本人が損害賠償を請求される可能性もあります。
退職代行業者の選び方には注意
営業職の退職代行サービスを利用する際には、退職代行業者の選び方に注意が必要です。
退職代行業者の中には、引き継ぎの代行をしない業者や、引き継ぎの代行をしても、十分な内容ではない業者も存在します。
また、退職代行業者の中には、法外な報酬を請求する業者や、悪質な営業を行う業者も存在します。
営業職の方が退職代行サービスを利用する際には、以下の点に注意して、信頼できる退職代行業者を選びましょう。
- 引き継ぎの代行がしっかり行える業者かどうか
- 適正な報酬を請求する業者かどうか
- 悪質な営業を行っていない業者かどうか
引き継ぎ放棄による具体的なトラブル
営業職の引き継ぎ放棄は、取引先への迷惑、営業案件の損失、会社への損害賠償請求など、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。
ここでは、営業職の方が引き継ぎ放棄をすることによる具体的なトラブルについてみていきましょう。
- 取引先への迷惑
- 営業案件の損失
- 会社からの損害賠償請求
取引先への迷惑
営業職の引き継ぎ放棄によって、取引先に迷惑がかかるケースは少なくありません。
引き継ぎがされていない場合、取引先から問い合わせやクレームが営業担当者本人に直接届くことになります。また、担当者の不在によって、新規案件の獲得や既存案件のフォローが滞り、取引先との信頼関係が損なわれる可能性もあります。
営業案件の損失
引き継ぎがされていない場合、営業案件の損失につながる可能性があります。
担当者が退職した後、取引先から新規案件の受注や既存案件の契約更新の依頼があっても、引き継ぎがされていなければ対応ができず、失注につながる可能性があります。
また、担当者が退職した後、取引先から不満やクレームが寄せられ、取引関係が解消される可能性もあります。
会社からの損害賠償請求
稀なケースではありますが、引き継ぎがされていない場合、会社から損害賠償請求される可能性があります。
会社は、営業担当者が引き継ぎをしないことによって、取引先への迷惑や営業案件の損失などの損害を被る可能性があります。
そのため、会社は労働者に対して引き継ぎ義務を課しており、引き継ぎをしない労働者に対しては、損害賠償請求を行うことができる場合があります。
引き継ぎ放棄のリスクを回避する方法
営業職は、顧客との信頼関係を築き、取引を拡大していくことが重要な仕事です。
そのため、引き継ぎ放棄は、退職者だけでなく会社や顧客にも大きな損害を与える可能性があります。
そこで、引き継ぎ放棄のリスクを回避するためには、以下の方法を検討しましょう。
退職前に引き継ぎの意思を明確にする
退職の意思が固まったら、早めに上司や同僚に伝えましょう。
引き継ぎの意思を明確にすることで、後任の担当者を早めに決定したり、引き継ぎ資料の準備をしたりすることができます。
後任の担当者を早めに決定する
後任の担当者が決まっていないと、引き継ぎが滞り、業務に支障をきたす可能性があります。
そのため、退職の1ヶ月前を目安に、後任の担当者を決定しておきましょう。
引き継ぎ資料を作成しておく
引き継ぎ資料を作成しておけば、後任の担当者がスムーズに業務を引き継ぐことができます。
具体的には、以下の内容を引き継ぎ資料に記載するとよいでしょう。
- 顧客情報:顧客名、連絡先、担当者、取引内容、受注状況など
- 取引内容:契約内容、受注金額、納期、支払条件など
- 営業ノウハウ:営業戦略、顧客のニーズ、競合他社の動向など
また、引き継ぎ資料は、読みやすくわかりやすいように作成することが大切です。
図や表などを活用して、重要なポイントを簡潔にまとめましょう。
引き継ぎ放棄の注意点
営業職が退職代行サービスを利用して引き継ぎを放棄した場合、以下のようなトラブルに発展する可能性があります。
- 会社に損害を与える
- 退職後の再就職に影響する
- 損害賠償を請求される
とはいえ、どうしても退職代行サービスを利用せざるを得ないこともあるでしょう。
その場合は、以下の点に注意しましょう。
- 退職代行業者に引き継ぎを依頼する場合は、契約内容を確認する
- 引き継ぎをしない場合は、会社と協議して合意を得る
退職代行業者に引き継ぎを依頼する場合は、契約内容を確認する
退職代行業者の中には、引き継ぎを代行するサービスを提供しているところもあります。
その場合は、契約内容をよく確認して、引き継ぎの範囲や費用などを把握しておきましょう。
引き継ぎをしない場合は、会社と協議して合意を得る
退職代行業者に引き継ぎを依頼しない場合は、会社と協議して合意を得るようにしましょう。
会社に損害を与えない範囲で、引き継ぎの必要性がないか、引き継ぎ方法について相談してみるとよいでしょう。
具体的には、以下のような点に注意が必要です。
- 引き継ぎをする担当者を決める
- 引き継ぎのスケジュールを決める
- 引き継ぎの資料を作成・共有する
まとめ
この記事では「営業職の退職代行トラブルに注意!引き継ぎ放棄のリスクと回避策」について解説してきました。
記事の内容をまとめます。
- 退職代行サービスは、円満退職を希望する営業職の方に有効な手段
- 営業職の退職代行サービス利用には、引き継ぎ放棄によるトラブル発生リスクがある
- 引き継ぎをしないと後任や取引先に迷惑をかける可能性がある
- 引き継ぎを代行(またはサポート)してくれる退職代行サービスの利用も検討する
- 引き継ぎをしない場合は、必ず会社と協議して合意を得る
退職代行サービスは、円満退職を希望する営業職の方に有効な手段です。
しかし、引き継ぎ放棄は、会社や取引先に大きな迷惑や損害を与える可能性があります。
退職代行業者に引き継ぎを依頼する場合は、契約内容を確認して、引き継ぎをしない場合は、必ず会社と協議して合意を得るようにしましょう。
営業職の退職代行トラブルを回避し、円満退職を目指しましょう。